人類の文明を一歩前進させた東大生の話
東大生に宿るカミの力
センター試験の国語自己ベストは120点です。
あんなに勉強したのに伊藤です。
高校3年生の冬、大学の掲示板の前で見事ズッコケた僕は、晴れて浪人生になったんですが、そこで1人の男と知り合います。
一年後、東大に合格した彼には、他の受験生にはない圧倒的な強みを持っていました。
それは
おしっこしにトイレにいかないこと
です。
これは彼の下半身がツンツルテンなわけでもなければ、排泄行為をしない新人類なわけでもありません。
つけてたんです。
オムツを。
そうです。
常にオムツをはいて勉強していた彼は、勉強中に尿意を催すとオムツにダイレクトにヒゥイゴーしていたわけです。
これにより、他の受験生がトイレに行っている間にも勉強ができるという魂胆です。
彼は僕たちに話してくれました。
受験生がトイレに行く時間がどれだけ無駄かということ、
受験勉強は一分一秒を争うということ、
そのことを考えるとオムツがどれだけコストパフォーマンスのいい投資であるかということ、
オムツの吸水性と消臭性の技術がいかに素晴らしいかということ、
そして世界平和のこと、
です。
ここまで聞いて皆さんもお分かりいただいたと思いますが、僕たちは彼の話を聞くたびに皆漏れなく
「なんだこいつ」
って思っていました。
そんな感じで、当時は机の角で頭ブツけたサイコ野郎くらいにしか思ってなかったんですが、大学生になり、尿意でピンチになるたびに彼のことを思い出しては、「あいつは生まれてきた時代が少し早すぎただけなのかもしれない」と思うようになりました。
確かに、トイレ自体は日々アップデートされてるとはいえ、これだけテクノロジー&サイエンスが進んだ世の中にも関わらず、排泄行為の進化は非常に微々たるものだと感じます。
果たしてわざわざ尿意便意を催した際、場所によって限定されたトイレなるものに行く必要ってあるんでしょうか。
十分な吸水性と消臭性を兼ね備えたオムツがあるにも関わらず、です。
何故そんな素晴らしいアイテムがあるのに会議中、長期バスの中で我慢する必要があるんでしょうか。
彼の言葉を思い出す度に、将来はトイレは消え失せ、オムツ機能を兼ね備えたパンツ等が主流になる気がしてなりません。
いつかトイレもまた「電話ボックス」と同じ道を辿る、彼がそれを証明してくれている、と感じています。
そんな折、久しぶりに会った彼にこの件について問うたところ、
「大学ではじめて出来た彼女とベッドインを試みた勝負のデートの際、色気が出てしまい、さすがにオムツはないなと思い、勝負パンツで繰り出したところ、ディナーのタイミングで間違えて暴発してしまい、隠し通そうと試みたけど臭いでバレてフラれた」
と遠い目をして話しながらその場で排泄行為を済ませていました。
きっと彼は東大合格と引き換えに何か大切なものを失ってしまったんだなと思いました。
でもチャレンジってこういうことなんだと思います。